サイトカインストームについて
サイトカインストームという言葉が最近良く報道で聞かれるようになりました。この言葉を理解するためにまず免疫ネットワークについて理解していただくことが必要なので少し解説したいと思います。上の図が免疫ネットワークの簡単な図です。環境研ミニ百科からお借りしてきました。
病原菌(ウイルス等)が入ってきて粘膜細胞が傷つくとまずマクロファージや樹状細胞にその情報が行き、T細胞というリンパ球の司令塔に情報が伝わっていろんな免疫反応が起きて病原菌を排除するという仕組みが基本になります。
ただ免疫が過剰反応を起こさないように制御性T細胞というのがあってブレーキをかけたりもしているわけです。
今回サイトカインストームで一番問題なのは初期反応のマクロファージの部分であろうと思われます。マクロファージには炎症性のものと炎症を抑えるものとがあり、炎症性のタイプからはTNF-αやIL-1、IL-6等の炎症サイトカインを放出するのですがこれが度を超すと周囲に想定以上の炎症を引き起こすことになります。度を超えた炎症の後は傷ついた場所に凝固反応が起きて血栓が生じてくるわけです。これが臓器障害を起こしてくることになります。
もちろんリンパ球や他の免疫ネットワーク細胞も関連していると思われますが主にマクロファージが関連性高いと思います。
あたかも免疫反応が悪いかのようなお話もありますが、初期反応が過剰なだけでリンパ球の本来持っている機能が失われているわけではないです。ですからマクロファージ等の初期反応を抑えてあげることが必要かと思います。制御性T細胞は主にリンパ球機能を制御しているのでマクロファージからの過剰反応には特にサイトカインの放出調整には弱いです。
この過剰反応はこれまで出会ったことのない病原体に対して起こしているわけですからやはりウイルス曝露量を減らすことでかなり対策になります。
後はステロイド剤を初期から積極的に使うことになります。もちろんワクチン等で抗体を持っていれば過剰反応は抑えられます。
人の社会でもネットワークは大事ですよね。最初に情報を得た人が過剰反応起こしたらその後の人たちが落ち着いていてもおおごとになることもありますね。
なんか人の社会を反映しているようにも思えます。